「オーガニックコットンだから肌に優しい」とかいう商品説明をたまーに見かけます。
あれはちょっと問題ある表現なんじゃないかなと思ってます。
なぜならオーガニック栽培だからってコットンが柔らかくなるわけじゃないからです。
コットンが柔らかいのだとしたら、それは繊維が細くて長いから。
つまり超長綿などの質の良い原料だからであって、有機栽培であっても繊維が荒くて太いと肌触りガサガサのコットンになります。
子供服や赤ちゃんの服などにもオーガニックコットンが使われていることが多く、そこに「安全・安心」などのキーワードが添えられていることもたまに見かけます。
これだって、農薬を使ったコットンが体に有害であるというような誤認を生むという意味で問題があるんじゃないかと感じます。
普通のコットンで作られた服を着て体に害をうけるケースはほぼ皆無のはずで、その点ではオーガニックと普通のものに特に違いはありません。
しかしながら、それでも東大阪繊維研究所は定番の生地をインド産のオーガニックコットン100%に変えました。
その理由はコットンを栽培している農家の人たちの健康のためです。
綿花を病虫害から守るために綿花農場では大量の農薬が使われます。
その農薬の影響でインド南部の綿花農場で働いている人たちの皮膚疾患や癌などの発生率が他の地域よりも数倍高いとされています。
特に綿花栽培の現場では若年労働者が多数働いていることもあり、この農薬被害を出来るだけ減らそうと海外の大手アパレル企業などが様々な取り組みを行っています。
そういった状況について我々なりに少しでも貢献できないものかと考えて、当ブランドのメインアイテムに使用するコットンをオーガニックに変えました。
もちろんオーガニックにしたからといって肌触りや糸の強度に問題があってはいけないので、原料はDCHという超長綿を選び、コンパクトスピンと精紡交撚を組み合わせてクリアで綺麗な糸に仕上げています。
今回作ったオーガニックコットンの当社の使用量は多くても年間2~3トンです。
インドのこの地域で栽培されるコットンの量からすると微々たる数字です。
けれども、モノづくりに携わるものとしてその原料を提供してくれている人たちの暮らしを少しでも良く出来るのであれば、何もやらないよりは良いだろうという思いで今回の選択をしました。
正直なところ、オーガニックコットンにすることで原料の仕入れ価格は上がります。
これについてはもちろん当社で主に負担しますが、お客様にもご協力いただきたく商品価格にいくらかは転嫁したいと思っています。
「作り手の暮らしをよくするため」のオーガニックコットンという選択は綺麗ごとのように聞こえてしまうかもしれませんが、そこを宣伝文句に使っていると思われないために当ブランドではあくまでも服のカッコよさと作りの良さをひたすら追求して、そこを評価していただくために努めてまいります。
目指すのは「真っ当なモノづくり」ということです。