今週は北陸で糸の展示会があり、招待状を頂いたので見に行こうと思っております。
北陸地方は合成繊維の生地を得意としている産地で、それにまつわる撚糸工場さんや染工場さんなどもあり、当社でもお付き合いのあるメーカーさんが何社かあります。
一度じっくりと回らなければいけないと思いつつ、大阪からちょっと遠いのもあってなかなか足が向かないままでいました。
今回は合成繊維のサプライヤーさんが主体となる糸の展示会のようなので、天然繊維のコットンやリネンを主力商品としている我々にとっては普段お付き合いのないところも多く、新鮮味のある展示が見られたり新たな取り組み先が見つかればよいなと楽しみにしております。
今回の北陸の展示会は今年で2回目らしいですが、最近国内でもこうした糸の合同展示会が少しずつ増えてきているように思います。
国内の糸の展示会としては愛知県の一宮市で行われる一宮ヤーンフェアというのがわりと長く続いているイベントです。
その他、ここ数年東京や山梨でも開催されているところを見ると、こういった展示会がある一定の商売に結びついているということなのだろうと思います。
当社ではこれまでほとんど展示会出展をしてこなかったのですがこれについて特に理由は無く、しいて言えば新しい技術や新しい商品が出来たらいち早くお客さんのところに持って行きたいので、一年に一度の展示会だとタイミングが合わない場合が多いという点があるでしょうか。
展示会出展自体はほとんど無いのですが、過去に何度か協業メーカーさんと合同で出展したりお手伝いでブースに立ったりしたことはあります。
そのときに他の出展者の方と交流していて驚いたことがありまして、その方の会社は一番新しくて一番売り出したい商品をあえてその展示会に出品しないということでした。
理由は単純で他社にコピーされるのが嫌だから。
聞けばその他のメーカーさんにも同じようなことを仰る方が何人かおられて、展示会に出すとアイデアをパクられるから奥に隠しておいて見せたいお客さんだけにこっそりと見せるとのこと。
もちろんこういったケースがすべてではなく、そういうお考えの企業もあるというだけのことなんですが、ちょっと驚きました。自分がその「新商品を紹介したいお客さん」じゃなかったら見せてもらえないのかと思うと。。。
同じ業種が集まる合同展示会のメリットは客先が一度に色んな商品を見られることです。しかしその反面競合他社にも自社商品の詳細が知られてしまうリスクもあるというわけです。
おそらく家電メーカーや自動車メーカーなどの展示会でも同じようにコピーのネタ元探しに来場する競合他社の技術スタッフがいたりするのだと思います。
展示会というイベントが不特定多数の人に商品を周知するという目的を持っている以これは仕方が無いことなのかもしれません。
しかし、自社の強みや他社との違いをアピールするための場である展示会である以上、各社ユニークなアイデアで来場者の興味を引かなければ出展の意味が無いように思いますし、来場者側からしてもわざわざ遠方にまで足を運ぶ意味が無いでしょう。
もちろん出展料もタダではないから出展者は出来るだけ多くの商談に結び付けたいし、けれども同業者には最新の技術やアイデアはバレたくない。ジレンマですね。
家電製品や自動車などは最先端技術が導入されていたり、実際コピーしようとしてもかなりコストがかかったりしてコピーされにくいけれども、糸の場合は容易にコピー可能だという点もあるのだろうと思います。
繊維業は言わずと知れた斜陽産業ですので、ユニクロなど一部の大手のアパレル企業向けに糸を提供しているような大手メーカーでもなければ、多額の研究開発費を投じて最先端の技術を開発しているという企業はほとんどありません。
各社既存の技術を何とかやりくりして、言い方は良くないですが小手先だけで新しさを演出しているケースが多いのが実情です。
けれどもちょっとしたアイデアで新しい見え方になったり新鮮味を感じさせたりという点では、その小手先の技術を磨いていくことがとても大事で効果的に作用したりします。
けれども悲しいかな小手先なのでとても簡単にコピーできてしまう。。。
これ以上書くと悲観的になってしまうので止めときますね。(笑)
当社ももちろんその斜陽産業の中で小手先の技術を駆使しながら何とかかんとか頑張っておりまして、自虐的な意味で小手先とは書いておりますがやっていることにはちゃんと誇りを持っております。
さてさて、とにもかくにも今週見に行く展示会でちゃんと各社の一押し商品を見せていただけるのかどうか。
いささか不安ですが(笑)、楽しみにしております。
せっかくだから展示会の宣伝してあげたら?
「第2回 北陸ヤーンフェア」というイベント名らしいです。
せっかくの新しいイベントなのに「ヤーンフェア」って名前を付けちゃうのがちょっと残念なんですよね。。。