ポリエステルはOKでアクリルはNOという価値観ってどこから生まれてるんでしょうか?

当社の主力素材はリネンとコットンです。

いわゆる春夏向けの天然繊維が中心ということになります。

会社をスタートしてから18年、当社の強みを生かせる素材に特化してきた結果そうなっています。

けれども秋冬商材を扱わないわけではありません。

ウール100%の新商品を近日中に発売する予定ですし、アクリルウールの素材も作成中です。

今までアクリル素材はほとんど扱っていませんでした。

けれどもたまたま最近懇意になった糸商さんがアクリル素材を沢山紹介してくれたので、当社でも何か作ってみようということになりました。

今回作成するのは90%アクリル10%ウールのマルチカラーコードで番手は1/4.7NMです。

多色の撚り杢を組んだ多本撚糸の糸ということで、ミドルゲージ用で少し光沢があって表情豊かな商品が出来ました。

この商材を作るにあたって何件かの客先様を訪問して、アクリルに対するニーズがどのくらいあるのか聞き込みしました。

するとほとんどの先様でポリエステルやナイロンは採用しやすいけれどもアクリル高混率のものはあまり使いませんとのこと。

アクリル=安物というイメージのせいでアパレル企業から敬遠される傾向にあるという意見が多く聞かれました。

ウールは高級品でその廉価版がアクリルというような位置づけの為に、アクリル素材が安物扱いになっているということは理解できます。

しかし、ポリエステルやナイロンがOKでアクリルがNOなのはなぜなのかと聞くと、誰もその確かな理由は分からないという感じでした。

単純にキロ当たりの単価で言えばポリエステルとアクリルにほとんど差はないのに、市場での扱いがここまで違ってしまっているのはなぜなのでしょう。

いずれにしても当社の客先は主に製品価格1万円以上のニットを販売しているアパレル企業さんなので、アクリル90%では安物の印象が強くなりすぎてほとんど採用されないということのようです。

しかしもう作ってしまったので、まずは既存の客先以外に提案してみようと思っています。

今回色々と聞き込みしていて、なんとなく分かるけど何でかな?と思うような話をいくつか聞く機会がありました。

たとえばアクリル高混率でも最大60%くらいなら許容されますが70%超えると厳しいですねとか、うちは70%くらいまでOKにしてますが90%は難しいですねとか。

その差は何なのでしょう。。。

10%や20%のアクリル混率の差が商品の価値観に大きく影響するとは思いがたいのですが。。。

カシミヤの混率が20%違うと価格に大きく影響するのでここは神経質になるところですが。。。

ファッション業界にいると時々こういう不思議なことに出くわします。

コルトレイクリネン(ベルギーの一地方の名前)という謳い文句で販売されているリネンがあって、じゃあそのコルトレイクという地方の場所や文化の特色などはご存知ですか?と聞くと関係者一同誰も答えられない。

にもかかわらずコルトレイク原産であることを証明する原産地証明書を発行してくださいと要求してくる。

しかしその糸は原材料こそベルギー産ですが、中国で紡績されていて生地も中国で織られている。

コルトレイクへのリスペクトはどこにあるのでしょうか。。。

もう何でもいいじゃん!適当にカッコ良さそうなオリジナルの名前を付けて中国で安く作って持ってくればいいじゃん!と思ってしまいますが、それじゃあ駄目なんでしょうか。

ガラ紡の糸で作っているから優しい肌ざわりなんですよというセールストークで売られている商品を見かけることもあります。

ガラ紡の機械を見たことさえないし仕組みも知らない人にとってはそれでよいのだと思います。

けれども、ガラ紡なんて綿カスを除去する工程も繊維方向をそろえる工程も何もないのだから、ガラ紡の糸よりもコーマ糸のほうが手触りは柔らかくなりますし肌ざわりもよくなります。

なにせ言葉のイメージを先行させて実際の物の良し悪しは二の次というようなことがままあるわけです。

全てはファッションなので、それでも良いのかもしれませんが、なんだかすっきりしない気分になることが時々あります。

ともかく、

せっかく発色も良くてポコポコと可愛い凹凸のあるアクリルウールのコード糸が出来たので、出来るだけ一生懸命販促してみたいと思います。

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