綿紡績の場合、カーディングが済んだ原綿をさらに均一にする工程としてコーマミングという工程があります。日本ではコーマ工程とも言ったりします。
COMBは櫛のことで髪の毛をとかすあの櫛です。このCOMBの動名詞「COMBING」の直訳「とかす事」がコーミング工程。髪の毛をとかすように繊維方向を一定に引きそろえるのが目的です。
毛紡績については工程がちょっと違うのでまたの機会にということで、今回はこのコーマ工程以降の綿紡績について。
繊維に限らず木材、プラスチック、金属なんでも表面が均一であればあるほど手ざわりは滑らかで光沢が出ます。
プラモデルを作りこんだことがある人ならわかると思いますが、400~600番台のサンドペーパーがけに始まり、1000番のサフを吹いて1200番でペーパーがけ、1500のサフを吹いて2000番でペーパー、その後2000番のサフ辺りから塗装下地を塗って、グレー塗って濃い青塗って薄い青塗って仕上げにクリア塗ってコンパウンドかけて。。。
物質に艶と光沢を与え手触りを滑らかにするにはとにかく均一にすることが必要です。
綿紡績ではコーミングで繊維をまっすぐに整えたあと、それをスライバーと呼ばれる1本の連続した状態に引き伸ばしていきます。この時点で見た目は極太の糸状になっていていますが、まだ繊維がきれいに並んだだけでほとんど撚りがかかっておらず、あくまでもワタの連続したものです。
更に均一にするためにこのスライバーを何本も束ねてそれを引き伸ばして、それをまた束ねて引き伸ばしてを繰り返していきます。この工程を連条と呼び英語ではダブリングと呼んだりしますが、これは手打ちラーメンを伸ばす時の感じに近い工程です。
8本束ねたスライバーを伸ばしたものを8本束ねて、それを伸ばしたものを8本束ねてというようにどんどん引き揃えて伸ばしてやることで、繊維は平行に並び均一性が増して強度も増していきます。
そうやってスライバーを束ねて引き伸ばしたものが粗糸と呼ばれるもので、糸になる一歩手前の状態です。
あと少しで糸になります。
それにしても、自分で書いてて思いましたがやっぱり工業とは「均一」を目指すものなんですね。前回から何度均一と書いたことか。
均一を目指しまくってスタートする割には、最後の最後ファッションになる時には差別化を求められるというこのジレンマよ。。。