冬物のウールと夏物のリネン。
本来は別々の時期に活躍する素材ですが、この2素材を組み合わせて新たな糸を作って欲しいというご要望が最近増えております。
当社がリネンを主力素材として扱い始めたのは約15年前。
そのころはリネンのセーター自体が市場に少なかったということもあり、リネンとその他の素材を組み合わせた糸も多くはありませんでした。
しかし、当社はそのころから試験撚糸機を保有していたので、リネン+コットンやリネン+レーヨンなど思いつくままに様々なアレンジで撚糸し、その中に一部リネン+ウールの企画も入れていました。
リネンウールの複合素材は当時から欧米のアパレル企業では割とポピュラーに用いられていたので、日本でもそのうち流行るだろうと思いながら作っていました。
けれども、これが全く売れない。
どこに持っていっても大抵の場合「麻ウールなんて何月に売ればよいのか分からない。」、「何を作れば良いのかイメージできない。」というようなことを言われるばかり。
ところがここ数年あまりそういったことを言われなくなってきました。
ファッションというべきか社会の価値観というべきか、生活文化が多様化して古くからある固定観念が取り払われつつあるという面もあるでしょう。
それ以上に夏がなかなか終わらなくなって、10月でも日中の気温が20度を超えるのはあたりまえ、昨年に至ってはついに12月に20度を越える日さえあり、シンプルに秋や冬も暑いから夏素材を着たいというのがあるのだと思います。
朝起きたときは10度を切る寒さなのに日中は20度を越える暑さとなると、お出かけのときの服装に迷います。
そんなときにリネンウールがちょうど良いのかもしれません。
そんな流れがあって、当社の取り扱っているリネンをウールと組み合わせて欲しいというご要望が増えています。
当社は複合素材を主に撚糸で作ります。
撚糸以外で作るとなるとワタをブレンドして紡績する混紡(こんぼう)という方法になります。
撚糸で作るにしても混紡で作るにしても一長一短ありますが、撚糸で作ることのメリットは主に2点
1.小ロットで様々なバリエーションのものを作ることができる
2.ベースとなるそれぞれの素材の特徴を出しやすい
1.についてはこのブログでもたびたび書いてきたように、ウール1本とリネン2本を撚糸したり、逆にウール2本とリネン2本を撚糸したりといったアレンジが簡単に出来るので、お客様のご要望に沿った糸作りがやり易いということがいえます。
2.については、仮にウールの紡績機械でリネンウールの混紡糸を作成しようとする場合、リネンの繊維をウール紡績用にカットする必要があり、そのためにリネンの持ち味であるドライで毛羽の少ない風合いが損なわれてしまいます。
それに対してたとえば柔らかなファインマイクロンのウールとウェットスピニングで紡績されたドライで光沢のあるリネンを撚糸で組み合わせると、ちょうど中間的な微光沢のある柔らかでサラッとした肌触りのリネンウールを作ることが出来ます。
当社の糸の中で特にこの2.のメリットを最大限に生かした糸が、タイトルにも書いた通りサフィラン社のフレンチリネンをベースに作ったリネンウールです。
当社が扱うサフィラン社のリネンはすべて一等亜麻という上質な原料を使用しウエットスピニングという方法で紡績されていて、毛羽とネップが少なく光沢があって滑らかな手触りが特徴です。
そのリネンに19.5マイクロンの防縮加工されたウールを撚糸して作ったものが当社のリネンウール「MARIE」です。
品番 : MARIE(マリー)
番手 : 1/12NM
混率 : 52%Wool 48%Linen
カラーブックには参考色として15色ご紹介しております。
写真では分かりにくいのですが、一見するとリネンが使われているかどうか分からないくらい綺麗な編み目です。
防縮ウールを使用しているので洗濯もできます。
袖口や衿などが伸びてダレ易いという麻素材の弱点は弾力のあるウールがカバーしてくれますし、ウールは本来吸湿性も放湿性も高い素材なので、同じく吸湿性と放湿性の高いリネンと合わせると汗ばむ季節にも最適です。
そういったわけで、新たに市民権を得つつあるリネンウールの複合素材、皆様も生活に取り入れてみられてはいかがでしょうか。