新規の取引先さんや業界外の人なんかと話をしていると時々「御社の強みをひとことで言うと?」って聞かれます。
この質問がとても苦手です。
これを聞かれるときに私が思うことは
「強みが1個しかない会社はアカンのとちゃうん。。。」
です。
ものごとを簡潔に説明することが大事なのは良く分かっているつもりです。
けれども質問が大雑把過ぎませんか?
特に会社のように様々な機能を備えた組織の強みをひとことで言い切るなんて難しすぎます。
私たちが運営している「東大阪繊維研究所」のTシャツについても時々同じようなことを聞かれます。
「御社のTシャツをひとことで言うと?」
とか
「他のTシャツの違いをひとことで言うと?」
とか。
もちろんその場では出来る限りひとことで答えるようにしてます。
会社の強みを聞かれたら「スピードです」。
Tシャツの強みを聞かれたら「着心地に感動できます」
みたいな返答をすることが多いでしょうか。
ですが、
正直こういう答えは社交辞令で言ってます。
当社の培ってきた地力をひとことで言うことなんて出来ないです。
もっと言えば簡単に説明できないところが強みだと思ってます。
コーンフレークだって味や歯ざわりのよさに加えて鉄分やカルシウムやビタミンが多かったり、とにかく色んな強みがあるわけです。
大谷翔平なんてその極みでしょう?打力、球速、走力、人柄、その他色々どこをとっても強い。
会社の強みなんて技術力であったり、情報であったり、スタッフの経験であったりさまざまなことに支えられているんです。
しいて言えばそのバランスが強みなんですよ。
本屋に並んでるブランディングの本なんかには「ひとことで説明できるものが売れる!」とか何とか書いてあります。
確かにその通りかもしれません。
誰が読んでも意味が分かる簡潔な言葉の方が伝わりやすいでしょう。
しかし、逆に言うとひとことで言えてしまうような強みはすぐに真似されます。
それよりも
「何故か強い」
とか
「上手くいえんけど凄いのだけは分かる」
みたいな方が攻略されにくくて良い様に思います。
なので、私は会社やブランドの強みを出来るだけ沢山の分野にわたって積み上げるように心がけています。
技術力はもちろん、品質管理、企画力、情報発信力、その他色んなところが少しずつでもいいから強くなるように、日々コツコツと活動しているつもりです。
弱点を無くそうとしているのではありません。
強みを持てる分野を少しずつ増やそうということです。
言ってしまえば、あえて会社の強みをひとことで言えないようにしようとしている感じです。
ただし、
これには大きな前提があります。
私は自社の商品に自信を持ってます。
リネンの糸、コットンのTシャツ。
手にとって触ってもらえば説明不要でモノの良さが伝わるように作っているつもりです。
「モノが語る」
そういうものを作っているという自負があります。
もちろん日々技術を磨き、仕入先との信頼関係を築き、品質管理に努めてきた成果としてそういう商品があります。
だから自社の強みなんてあえて説明する必要も無いと思っています。
もちろんそのモノの良さを出すためにどういった工夫をしているのか?と聞かれれば喜んでご説明します。
作り方のノウハウや素材の特徴だけでなく、日々頑張っていることや気をつけていることなども含めていっぱい説明します。
なので、
「この商品の良さってどんなところですか?」
と聞かれたとき私は冗談で、
「2~3日いただければ全部説明できると思います」
と答えます。(笑)
それは極端にしても、時間の許す限りしっかり説明するようにしています。
人は他人の話なんてすぐに忘れます。
それが強烈に印象的なひとことであっても、わりとすぐに忘れます。
けれども、なんとなくの印象だけは残るものです。
だから私は商品プレゼンのとき、
「詳しいことはともかく、何か良いものだということだけは分かった」
くらいの印象を残せればいいと思ってます。
本当に詳しいことが知りたければ皆さんインターネットなどで調べるでしょう。
そのときの為に、ブログやその他の媒体に自社の強みや商品の特徴なんかを書きまくってあるので、本当に興味が沸いたときにそれを読んでもらえば良いのかなと。
そんなわけで、
「御社の強みをひとことで言うと?」
の問いへの私の答えは
「長くなりますよ」
です。