「東大阪繊維研究所のTシャツはゼロトルク®の糸で作っています。」という説明をすることがあります。
このゼロトルク®というのは当社が取得している登録商標で、ゼロはそのまま数字の0を、トルクというのは回転のことを意味しています。
つまりゼロトルクの糸というのは「回転しない糸」もしくは「無回転の糸」というような意味合いになります。
そしてゼロトルク撚糸は「回転しないように糸を撚糸する」という意味になります。
今回はそのゼロトルクについてGIF動画なんかを使って分かりやすくご説明したいと思います。
まずはこちらをご覧ください。
糸が左回転しています。
この糸は左回転に撚って仕上げているので、糸が左回転しているということはこの状態だと撚りが足りていないということになります。
こう説明すると「イマイチよく分からん!」となるかと思いますが、難しいことは一旦置いといて「撚りが足りない状態」と思ってください。
そうすると生地はこうなります。
右下がりの平行四辺形に歪んでいます。
次にこちらをご覧ください。
こちらは糸が右回転しています。
左回転に撚って仕上げた糸が右回転するということは「撚りが入りすぎている」ということを意味しています。
そうすると生地はこうなります。
左下がりに歪んでますね。
さてついに登場「ゼロトルク」の糸。
糸が回転しません。
無回転、すなわちゼロトルク。
この糸を生地にするとこうなります。
四角いでしょ!歪んでないでしょ!
これがゼロトルクの糸で作った生地の状態です。
生地をこの状態にしてやることで製品の形は安定し、洗濯を繰り返しても縮みや歪みを抑えることが出来ます。
糸のトルクが安定している状態というのは、糸の締め付けが少なくふくらみがある状態でもあるので、結果的に生地の目をしっかり詰めることができます。
上質なコットンをうたった製品は世の中に沢山ありますが、その多くはこの糸のトルクを安定させていない状態で生地を編んでいるので、肌触りはスベスベだけど生地に膨らみ感が無いものが多いです。
確かに上質なコットンを使えばスベスベな肌触りは簡単に手に入ります。
けれども私たちは「スベスベで柔らかくて、なおかつ生地がしっかりしている」という贅沢な仕上がりを目指しているので、そのためにはこのゼロトルクの技術が不可欠なのです。
ちなみに上質なコットンにさらに光沢を与えるために「シルケット加工」という艶出し加工をするケースも多いですが、シルケット加工をするとさらに生地が締め付けられてふくらみがなくなります。
上質なコットンにシルケットをした「スベスベではあるけどペラペラな生地」を良く見かけますが、東大阪繊維研究所の生地は基本的に特殊な加工を全くしていません。
洗って乾かしているだけです。
なので使い始めてからの変化も少なく、使い始めの肌触りを長く楽しんでいただけます。
ということで、
ゼロトルク撚糸=糸が安定する=スベスベで柔らかくてしっかりした肌触り、なおかつ丈夫で長持ちするTシャツが出来る!
ということなのです。