スウェットの姿をしたロンT「HOFI-020 モンスターオンス リブヘムロングT」をめちゃくちゃしっかりご説明します!

昨年末ギリギリに発売しました新商品、見た目はスウェット着心地はロンTというある意味特殊なアイテム「HOFI-020 モンスターオンス リブヘムロングT」

この商品を作るために考えたことは、

「重ね着してもゴワゴワせずにスッキリ着られるスウェットが欲しいな」

ということでした。

皆さんご存知の通りスウェットはたいてい表が天竺で裏がループの「裏毛(うらけ)」というモコモコした生地で作られてます。

こんなやつです。(画像は「ニット生地屋」さんのサイトからの転載です。)

このモコモコがあるおかげで暖かく着られるので秋口や春先に重宝します。

しかし、このモコモコのおかげでインナーにシャツを着たりアウターにダウンを着たりするとめっちゃ着膨れ感が出るし、何よりも体が動かしにくい。

若い頃は多少窮屈な服装でも筋力で動きをカバーできましたが、40代後半にもなるともう動きにくくて窮屈な服を着るのが疲れるし不快でしかたがない。

「ならばこれを天竺生地で作れば楽に着られて快適なスウェットが作れるはず!」と思ったわけです。

けれども普通の天竺生地だと薄すぎてモノにならない。

しかし!うちにはありますよ、天竺生地なのに極厚でスウェット生地にも劣らないボリュームのやつが。

そう、モンスターオンスです。

コットン100%のモンスターオンスならば普通のスウェットに負けないくらいしっかりしたのが出来るし、極厚と言ってもあくまで天竺生地の中では極厚というだけで、裏毛の生地に比べればまだ薄い。

けれど密度はしっかりしてるので十分保温性もある。

問題は編み目が詰まりすぎて生地に伸縮性がないこと。

ならば厚みをキープしながら伸縮性を出してやれば、楽に着られて快適に動けるスウェットが作れるに違いない!ということでモンスターオンスの伸縮性能を改良する試験を始めたわけです。

改良試験を始めるにあたってうちのモンスターオンスシリーズを一通り見返してみると、生地に伸縮性のあるものとないものがありました。

コットン100%はあまり伸びない、リネンコットン、リネンウールはめっちゃ伸びが良い。

リネンが使われていると伸びが良くなるのか?いやいや、そういうわけではありません。

リネンは天然繊維の中でも糸の伸縮性が少ない部類の繊維です。

ならばどこが違うのか?

コットン100%の生地は2本の糸を引き揃えて編みました。

リネンコットンとリネンウールはそれぞれリネンを表に裏はコットン、リネンを表に裏はウールという組み合わせでプレーティング編みをしています。

つまり素材はともかく、プレーティング編みをした生地の方が伸縮性が良い。

この違いに気がついて、100%コットンのモンスターオンスの伸縮性を向上するにはプレーティング編みが効果的なんじゃないか、と考えたところから生地の改良試験はスタートしました。

そうとなったらすぐにテスト開始!ということで早速リネンコットンやリネンウールを編んだプレーティングの機械でコットンを編んでみました。

出来上がってきた試作はというと、もう段ボールみたいにゴツゴツに硬くて全く伸びない帆布のような生地でした。

なぜだ?糸番手もリネンウールのときと同じになるように特別に撚糸したコットンを使っているのに。。。

いや、そうか、リネンは伸縮しないけれどコットンは糸自体が伸縮するから、リネンと同じ設定にすると糸が縮んで余計に編み目が詰まるに違いない!

ということで、コットン100%のプレーティング編みをするために糸番手をさらに変えて撚糸しました。

色んなパターンの糸を用意して生地を試作した結果、一番いい組み合わせは72/2x3ECC表+72/2x2ECC裏という結論に至りました。

試作の途中で編みの度目を甘くしたので、結局プレーティング編みは関係なくて度目を甘めれば伸縮性が出るのではないか?という意見も出ました。

おそらくそれもある程度正しくて、普通に2本の糸を引きそろえて度目を甘く編んでも多少伸縮性は改善しただろうと思います。

しかし、2本の糸が前後に並ぶことによって生地の厚みを保ちながらニットループの隙間を大きく出来るプレーティング編みがやはり伸縮性に貢献していると考えて、プレーティング編みを採用しました。

そもそも、72/2x3ECC+72/2x2ECCという異なる太さの糸の組み合わせで引き揃え編みをすると編地の目が綺麗になりません。

それを前後に配置できるプレーティング編みだからこそ美しい編み目で生地厚もあって伸縮性もある生地が生まれたわけです。

つまり、

しっかりした生地厚を出すための糸番手の組み合わせ
プレーティング編みによるニットループの隙間
コットン糸の伸縮性を考慮した編み機の度目調整

これらのベストバランスによって今回の伸縮性向上版100%コットンモンスターオンス生地が出来上がったわけです。

こんな感じで、うちの「HOFI-020 モンスターオンス リブヘムロングT」は天竺生地で作られてて、裏毛独特のモコモコ感がないので体が楽に動かせるし地肌に直接着ても肌触りはスベスベでめっちゃ気持ちいいですよ。

それにしても、

今回はめちゃくちゃいっぱい失敗しました。

「多分こうじゃない?」から「そうじゃなかったね。」の繰り返しでした。

けれどもこの失敗から多くのことを学べたし、伸縮性向上としては失敗でも段ボール並みにゴツゴツした生地が手に入ったので、これはこれで後々何かに使えるなと思ってます。

そんなわけで、今回はスッキリ楽に着られるスウェットのための生地作りのお話でした。

また近日中に原材料のことやデザインのことなんかも書いて行きたいと思います。

よろしくお願いします。

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