当社が生地作りをお願いしている丸編み工場さんは岐阜県にあります。
愛知県との県境に位置する町です。
岐阜県では飛騨高山や白川郷といったところが有名でしょうか。
いずれもわりと豪雪地帯で冬場になったら町は真っ白になります。
そのエリアからするとかなり南方の町ですが、この工場さんのある地域もかなり積雪のある町です。
この時期はまさに雪のシーズン真っ只中で、現場でもみんな厚着をして凍えながら作業をしています。
繊維業に携わる方は良く知っていることですが、風綿といわれる綿くずや糸などは燃えやすく火災の原因になりがちなので現場でストーブなどは焚けません。
木造土壁の古い建屋は空間が広くて隙間風も多く、エアコンを設置してもほとんど効き目がありません。
なので現場は外気温とほとんど違わないくらいの寒さになることもしばしばです。
機械はキンキンに冷えているのでちょこっと針を換えたり度目を調節したりするたびに手は冷たくなり、糸を結ぼうにもスムーズに指が動かないということもよくあります。
前日の仕事を終えて機械を止める。一晩止まっていた機械を翌朝早くにまた動かそうとすると、前日は順調に稼動していたのに全くスムーズに動かないといったことも頻繁にあります。
金属は熱によって収縮するので、冷え切った機械は各パーツが少しずつ縮んでいて本来の動きが出来ない状態になっているわけです。
これを上手に使いこなすには効果的に熱を加えて動かしたり、少し空回しをしてアイドリングしたりといった工夫が必要になります。
そのために行員さんたちは少し早起きして準備したりすることもあります。
春夏物の生地を編みたてる最盛期はこの時期なので、現場では皆さんばたばたと忙しく作業しています。
そんな中、新しい企画の試作に立ち会うために編みたての現場に行ってきました。
覚悟はしていましたが、、、寒い。。。
私たちが通常現場に入る目的は、工場の方々にあれこれとお願いして配色や度目を何パターンも作ってもらうことです。
しかしここまで寒いとわがままを言うのが申し訳なくて、ともすれば妥協してしまいそうになります。
けれども現場の方々はもっとこうしてみれば、ああしてみればと色々なアイデアを出してくれるので、では一度やって見ましょうということになる。
なんだかんだと試行錯誤しているうちに企画は良いものに仕上がっていきます。
結局一つの生地配色を決めるためだけに数時間の作業になってしまいました。
それに何一つ不平を言わない現場の職人さん。
普段自分たちが暖房の効いた事務所でのほほんと仕事をしていることを申し訳なく思います。
なんとかして良い商品に仕上げなければいけないですね。
寒さもあいまって気持ちの引き締まる一日でした。