先日本屋さんでCUTという雑誌のバックナンバーを見ていたら、バンプオブチキンのロングインタビューが掲載されている号があったので購入しました。
実は私、バンプオブチキンの大ファンで友人と一緒に何度かライブに行ったりもしています。
曲や歌詞はもちろん彼ら4人のアンサンブルや醸し出す雰囲気なんかも好きで、雑誌でのインタビューなんかがあれば大抵購入して2~3度読み返したりします。
特にヴォーカルギターの藤原基夫君の語る創作やライブ活動の話はいつも感動や感心することがいっぱいで楽しみに読んでます。
今回のインタビューでも、なぜバンプがこれまでほとんどテレビに出演しなかったのかとか、アコギ一本で作ったデモ音源をバンドアンサンブルにアレンジしたときの歌の発声についてとか、面白い話がいっぱいでした。
そのインタビューの中で、小さなライブハウスで活動していた彼らが東京ドームや武道館でライブをするようになったけれども、ずっと変わることのない心構えの部分について語られていて、それがすごく心に響きました。
彼の言葉を上手くまとめて書き直すのは難しいのですが、音楽というものが直接鼓膜に届く1対1のコミュニケーションツールだというようなことです。
5万人を導入するライブになると、後ろのほうのお客さんはステージ上のメンバーの顔もよく見えずもちろん触ることも出来ないけれど、その瞬間に演奏する音楽は全員共通のものとしてそれぞれの鼓膜に直接届く。
会場の広さに関係なくその現場にいて同時にその演奏を聴いている人たちにとっては、同じ熱量のコミュニケーションになるのが音楽のライブ演奏だというような話です。
もちろんCDやラジオで曲を聴いてもらう場合でも、そこに演者はいないけれども聞いている人の鼓膜に直接その音が鳴るという点で音楽はすごく親密でダイレクトなコミュニケーションツールなのだということです。
だから数十人しかお客さんのいないライブでも5万人の前でも、聴いている人たちは自分のために演奏してくれていると感じているだろうし、演じる側としても一人一人に個別に聴いてもらうつもりで演奏しているという話でした。
一人ひとりのお客さんを大事にしているというようなことは、いろんなミュージシャンが自らの姿勢としてよく語ることです。
それを分かりやすく藤原君らしい言葉で語っていて、あぁこれは良い話だなと感じました。
私が私の言葉に直して書いてしまっているので、彼のニュアンスが上手く伝えられないのがもどかしいところです。
ご興味のある方はCUT2017年2月号を読んでください。
ひるがえって自分の仕事に置き換えて考えてみたとき、これは案外よその世界の話でもないなと思いました。
自分が作っているのは糸や生地、そしてTシャツです。
これらを企画してサンプルを作って、色が良い手触りが良いと試作が出来上がるたびに盛り上がっている自分たちがいるわけです。
その感覚を、実際に服になったものを購入してくれた人たちが感じてくれたら、それが一番良いことなのだろうなと思います。
「肌ざわりが良くて着心地の良いTシャツが出来たぜ!」
と嬉しくなった我々がいる。
それがどこかのお店に並んだりして、誰かが手に取ったときに
「肌ざわりが良くて着心地の良いTシャツ見つけてなんだか嬉しい!」
となる人がいてくれたら、そこには共感やら価値観の共有やらが成立しているわけで、すごく感動的なことなんじゃないだろうかと思うわけです。
実際のところバンプの音楽と同じレベルで語ってよい話ではないのかもしれませんが、同じような気持ちで自分が作るものでどこかの誰かとコミュニケーション出来たらこれは楽しいなと思います。