商品サンプル帳の表紙をリニューアルしてみました。
従来は「楽」という漢字をディフォルメしたデザインを使用していました。
これは当社発足時の社是が「糸作りの追及を楽しむ」というものだったので、それに基づいてプロのデザイナーさんにお願いして作成してもらったものでした。
漢字を採用したのは海外のメーカーさんに日本製をアピールするのに良いと思ってのことでした。
けれども時が経っていくうちに、いつまでもメイドインジャパンをアピールしていては駄目で、メイドインエップヤーンを伝えるものでなければいけないと思うようになり、今回デザインを一新するにいたりました。
あまり感傷的になるのも考えものですが、モリカケ問題や相撲協会、日本大学のあり様など、昨今の日本という国のイメージにはうんざりするものがあります。
ものづくりの点で見ても大手メーカーが軒並み不当な検査を行って結果を偽装していたり、大規模なリコールの問題を起したり、様々な点でその品質に疑問符が投げかけられているように思います。
自分たちの商品は日本製だから良いものだ、などという古びた幻想から脱却しなければいけないと思っています。
もはや日本製という言葉は商品の高い品質とは直接結びつかない。
だとしたら何を伝えるべきか。
よくよく考え初心に立ち返って、自分たちが仕事に従事する上で常日頃大切にしていることを分かりやすく伝えるべきなんだと思い至りました。
表紙に描いたのは当社の所有している撚糸機をイラスト化したものです。
表紙を手書き風にしたのは人の手が加わったものを作っているのだというイメージを伝えたかったからです。
見開き部分には図面を配置しました。
小さな試作用の機械を自らの手で動かして、創意工夫を重ねながら様々なバリエーションの商品を生み出すのだということを伝えたいと思い、機械のページを左右に開くと商品の編地見本とカラフルな色見本のパネルが現れるというデザインにしました。
表紙はアイボリーカラーで少しザラっとしたナチュラルテイストな質感、内側は真っ白でクリアな風合いで色見本の色彩が分かりやすくしてあります。
しばらくの間は古いバージョンと新しいバージョンが混在すると思いますが、新しく作成する見本帳は全てこの表紙に変わっていきます。
見本帳の表紙が変わったからといっていきなり売上がアップするわけではないと思います。
けれども、会社として伝えたいことを分かりやすくするためには人の目に入るこういったツールはとても大切だと思います。
このほかにも名刺であったり封筒であったり、いろんなところに自分たちのメッセージを乗せていって少しずつアピールしていけたらと思っています。
楽しく真面目に糸作り。
伝えたいことをひとことで言えばこれです。
そしてそこから広がる様々なメッセージを、商品の品質やデリバリーだけでなくいろんなツールを通して発信したいので、そのために様々なデザインをリニューアルしていきたいと思っています。